ご近所トラブル

土地を売ろうと思うのですが、お隣との境界に争いがあります。どうしたらいいでしょうか?

境界が確定していないと、土地を売るときになかなか売れません。境界の争いが新しい所有者に持ち越されることになるからです。境界に争いがあるときには、出来るだけ早めに解決しておくことをお勧めします。

境界に争いがあるときは、まずお互いに話し合うことが先決です。お互いに主張する境界の根拠となるもの(境界標だとか図面だとか)を確認し合って、話し合ってみましょう。

話し合っても、合意が出来ない場合は、裁判で決めることになりますが、その前に調停の手続きを利用するのがよいでしょう。
調停は、相手方の住所地の簡易裁判所に申立てれば出来ます。調停で話し合うことにより、調停委員のアドバイスやあっせんを受けることができ、話し合いをまとめる有効な手段になります。

調停でも話がまとまらない場合には、訴訟になります。訴訟になると、最終的には裁判所が判決で境界を決めてくれます。
しかし、なかなか話し合いがまとまらないということは、それだけ事案が複雑なのでしょうから、解決するまでには一定の時間と費用、労力がかかることを覚悟しなければなりません。訴訟の途中で話し合いの機会が持たれることもあり(和解と言います)、和解で解決するケースもかなり多く見られます。
いずれにしても、お互い、自分の主張を言い合ったうえで、ある程度合理的なところで解決するのが、賢明な解決方法だと言えます

境界争いの事件は、なかなか難しい面もあるので、弁護士などの専門家に依頼するか、依頼しないまでも一度相談してみるのがいいでしょう。

お隣との境界に境界塀を作りたいと思います。どうしたらよいでしょう?

境界は、普通、境界線上に作りますが、どのような境界塀を作るかについては、民法に定められています。
民法では「板塀又は竹垣その他これに類する材料のもの」で「高さは2メートル」となっています。それよりもよい材料で、また2メートルを超える境界塀を作りたいときは、余分にかかる費用を自分で負担して、作ることが出来ます。

また、自分の敷地内に、境界線に沿って境界線の内側に作るのであれば、自分の好きな材料、高さで塀を設置することが出来ます。自分の敷地内にどんなものを作ろうと自由だからです。お隣も、境界線に沿って自分の敷地内に自分の好みの塀を作ることは自由に出来るわけです。
但し、なんでも自由というわけではなく、隣地に不当な迷惑がかかるようなものは出来ません。

費用の問題もあります。
民法では、民法で定められた境界塀(前記)を作るときは、費用は折半となっています。それ以上に費用のかかるものを作りたいときには、余分にかかる費用は自己負担となります。
話し合いで、どんな塀を作るか意見が一致し、費用の負担も合意できれば、それで構わないのですが、一方が、費用の負担はしたくないとか塀を作る必要はないなどの意見が出された場合には、自分の費用で、自分の敷地内に作ることになります。その場合は、どんな塀にするのかは自分で決めて構いません。

境界塀を作ることにより、お隣の日照に影響が出たり、見栄えに問題のあるような境界塀の場合には、お隣とトラブルになることもありますので、配慮が必要となります。

マンションに住んでいるのですが、お隣の飼っている室内犬が吠えてうるさくて困っています。どうしたらよいですか?

まず、マンションの管理規約で、犬、猫などのペットの飼育がどう規定されているか確認することが必要です。
犬、猫などのペットの飼育が禁止されている場合は、そのことを指摘することから始まるでしょう。
ペットの飼育が禁止されていない場合には自由に飼ってもかまわないかというと、必ずしもそうではありません。鳴き声がうるさい、臭いがするなどの問題がある場合には、一定程度規制される場合が出てきます。
買主は、ペットのしつけや世話を十分にして、他人に迷惑がかからないようにすることが大切です。

ペットが禁止されている場合でも、されていない場合でも、問題があれば、まず話し合うことが先決です。直接話し合うのがむずかしい場合には、マンションの管理組合に相談するとか、場合によっては、簡易裁判所に調停の申立をして話し合ってみてください。
買主のほうは気づかず、周りが困っている場合も意外と多いものです。困っていることを話し合ってみることで解決することもあります。

話し合って解決しない場合には、場合によっては、マンションを移るとか裁判を起こすとかの選択を迫られる場合も出てきます。マンションを移ったあとで損害賠償の請求をすることもありえます。
裁判を起こす場合には、ペットの被害が我慢できない程度に深刻であること(人によって違いもありますが、普通の人を基準とします)とそれを証明する証拠が必要となります。ペットの鳴き声を録音するとか、第三者に被害を確認してもらうとかが必要となります。
ペット禁止の管理規約がある場合には、ペット飼育禁止の判決が出る可能性は高いと思われますが、禁止の規約がない場合には、被害の程度が相当ひどくないと難しいかもしれません。

いずれにしても、ペットを巡るトラブルの場合は、好き嫌いの個人差もあり、よく話し合って、相手の気持ちも理解するよう努力することが大切です。

近所にマンションが建つことになりました。反対したいのですがどうしたらよいでしょうか? 裁判で止めることはできますか?

近所にマンションが建つという理由だけでは、マンションの建設を止めることはできません。自分の所有地に建物を建てることは、原則自由だからです。
しかし、どんな建物を建ててもいいというわけではありません。
まず、建築基準法に従った建物でなければ建てられません。建築基準法に反する建物は違法建築として、建築は認められません。
また、各自治体には、用途地域という土地の利用についての規制が決められていて、用途地域によって、どういう建物が建てられるかが決められています。第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域に指定されているところでは、高さの制限などもあり高層のマンションの建築は規制されています。また、建蔽率や容積率が決められていて、これに反する建物も建てられません。
さらに地域の住民によって「建築協定」が結ばれ、協定でマンションなどの建築が規制されている場合には、マンションは建てられません。

これらの建築制限によって規制されない場合で、建築確認申請が認可されれば、一応、マンション建築は認められることになります。
しかし、マンションが建設されることにより近隣住民の日照権が侵害される場合などには、マンションの建築が禁止されたり、一部設計変更を求められたりする場合もあります。日照被害だけでなく、風害やその他環境への影響などで、近隣に著しい影響が出る場合(受忍限度を超える場合)にはマンションの建築が規制される場合もありますので、取りあえずは、弁護士などの専門家に相談してみてください。

マンション建設をやめさせるためには、まず工事業者や施工主と話し合うことです。
多くの自治体では、住民への説明会を開催するよう指導していますが、説明会が一方的な説明に終わる場合も多く、住民の意思が十分反映できるわけでもありません。
次に、日影規制条例(日照条例)などで、自治体の機関が調停、あっせんを行う制度をもうけているところもあります。
また、裁判所の調停を利用することも、ひとつの方法です。
いずれも、合意されて初めて効力が出るので、合意に至らないとマンション建設を止める手段としては、最後は裁判ということになります。

裁判になっても、建築を止めるのはなかなか難しいのが現状ですが、裁判の途中で、裁判所の和解勧告なども受けて、話し合いで解決することも十分可能です。どのような理由でマンション建設に反対するのかをはっきりさせて、合理的解決を図ることが大切です。絶対反対を通すことはなかなかむずかしく、条件闘争になることのほうが多いでしょう。しかし、近隣住民の世論の盛り上がりと反対する理由の正当性により、マンション建設を断念させることも決してないことではありません。
なお、裁判は、普通、仮処分という緊急の手続きがとられることが多く、仮処分で大方の決着がつくことが多いのが実情です。

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